2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

玉手箱の話

人生は、夢かうつつか。よく聞くセリフだ。でも、夢かうつつか、って区別じゃないと思うんだ。そもそも、うつつなんて、どこにもないんじゃないかって思う。 たぶん、全部、夢なんだ。たくさんの夢が、いくつもいくつも無限に重なっていて、その夢と夢の間を…

三島由紀夫「金閣寺」 「究竟頂」の扉をめざす文学的系譜

「三島由紀夫は金閣寺のラストを書くために生まれた。」と、言っては、言い過ぎだろうか。あたりまえだ。言い過ぎだ。と、えらい人たちに叱られる。では、こう言っては、どうだろう。「金閣寺」のあとの三島の作品なんて、あれは、ぜんぶ、おまけみたいなも…

中勘助 妄執の純愛 絶対孤独の文学

愛しても愛しても愛するひとのすべてを愛することができないとき、叫んでも叫んでもその声は愛するひとのこころには届かないとき、探しても探してもその手は愛するひとのたましいには触れることができないとき、ついにひとは絶望し、神を憎み、運命を呪い、…